好きって言っちゃえ


そして、お見合いパーティーの日。アパートの前で待ち合わせしていた光俊と航がそれぞれ部屋から出てきたのを店舗から見張っていた悦子は急いで店を飛び出し、

「ちょっと待って~!」

と、叫びながら、2人の元へと走り寄って行く。迫り来る悦子に驚きながらも2人は立ち止って悦子を待った。

「い、い、今から行くんでしょ?」

店舗からアパートまでは僅か2,30メートルだが、悦子の息は上がっていた。

「はい」

「そうですけど」

「はぁ・・・、良かった間に合った」

「何かあったんですか?」

「急な仕事でも入ったんすか?」

「何言ってるの、こんな日に仕事なんか入れるわけないでしょ」

「仕事なんかって・・・」

思わず光俊と航は目を合わせた。

「私が言っておきたいのは、今日は本気で参加してらっしゃいってこと」

「・・・は?」

光俊と航は声を揃えて聞き返す。

「だから、本気でお嫁さん見つけてきなさいって言ってるの」

「はぁ・・・?」

「んもう、じれったいわね、あなたたち。このアパートは、皆が結婚しても家族で暮らしてもらえるように広めに造ったんだから、結婚してもこのまま家賃無で住んでくれていいのよ。それに、あなたたちは結婚式を担当してるんだもの。そろそろ本気でお嫁さん探してもいいんじゃないのって、言いに来たの」

「わかりました。ガンバってきます」

桃子に相手にされなかった挙句に、その桃子が悠一と付き合ってしまうというショックから立ち直ってきていた航は、悦子にガッツポーズをして見せた。

「平野くんもね」

「いやぁ、俺は。ほら、会長もご存じの通り結婚なんて出来ないっすから」

「あら、借金の事?」

「はぁ、まぁ」

「何言ってんの!」

悦子はそういうと光俊のお尻をバシっと叩いた。

「アイテっ」

「借金なんてうちも山ほどあったわよ。そんなもんに囚われてたら幸せ逃すわよ」

「そんなもんって・・・」

「とにかく、2人とも本気でいってらっしゃい」

そう言うと悦子は満面の笑みで手を振った。

「・・・行ってきます」

テンションの高い悦子に押し出されるように光俊と航は歩き出した。

「あの2人、ちゃんと舞と美雪ちゃんを選んでくれるかしら。イマイチ頼りないわね」

2人の後ろ姿に思わず手を合わせてしまう悦子であった。