好きって言っちゃえ


光俊の話が一通り終わったところで、舞は自分の席に着いた。その内心は昨日、舞が光俊の部屋を訪れたことを言わなかった事に少しほっとしている。それぞれ、仕事の準備に取り掛かり、光俊と航と秀人はブライダルハウスに行く支度を整えた。

「じゃ、行って来ます」

「おう、行ってらっしゃい」

3人が出て行くと、シーンとなった作業室で剣二と悠一と舞がそれぞれの机でパソコンに向かい合い画像の処理に集中し、しばらくの時が経った。

「あ〜、肩凝ったな」

剣二が椅子にのけ反って首を左右に傾けた。

「コーヒーでも淹れますか」

舞もパソコンから手を放して左手で右肩をトントンと叩いてから、席を立ち上がった。作業室の片隅に置いてあるコーヒーメーカーでコーヒーを作り、3つのカップにコーヒーを注ぐと、

「コーヒー入りましたよ〜」

と、二人に声を掛けつつ、机の後ろにあるテーブルにカップを置いた。声を掛けられた二人は机を離れ、舞が用意したコーヒーの置かれたテーブルの方に移動し、悠一は一口コーヒーを飲むと、

「うん、美味しい」

と、呟いた。その一言に、舞の脳裏には『ああ、きっと、昨日の晩御飯もそう言って食べたんだろうな…』との思いが浮かんだ。

「舞ちゃん、どうかした?」

「…え?」

「いや、ぼーっとしてるから」

剣二に声を掛けられて舞は急に恥ずかしくなって来た。自分では気にしていないと思っていたが、やっぱり悠一が桃子と付き合っているという事実が頭の中に引っかかっている事を認めざるを得なかった。

「ああ、そういえば、舞ちゃん、昨日、平野んちに行ったんでしょ?」

「へ?」

サラッと笑顔で語りかける悠一。昨日、舞が光俊の部屋に行ったことは舞の家族と、光俊と、桃子しか知らないはず。なのに悠一の口からその事が出てくるということは、桃子から聞いたとしか考えようがなく、舞は何と返していいか一瞬思考が止まった。そんな舞に代わって、剣二が答える。

「平野の様子を舞ちゃんに見に行ってもらったんだよ」