好きって言っちゃえ


次の日の朝、体調の戻った光俊はいつもより早く家を出て足取りも軽く2階の仕事場へ向かった。

「おはようございますっ」

奥の作業部屋のドアを開けるとすでに社長の剣二が机についてパソコンに向かい作業していた。

「ああ、おはよ。今日はやけに早いな。体調はどうだ?」

剣二は手を止めて椅子をぐるっと回し、光俊の方を見上げた。

「ご心配かけて、申し訳ありませんでした」

神妙な顔で深々と頭を下げる光俊。

「いや、大丈夫ならいいんだけど、医者には行ったのか?」

光俊は、剣二の問いかけに苦笑いで顔を上げて答える。

「それが、非常に言い難いんですが…。病気ではなかったようで」

「ん?なんだったんだ?」

「舞さんは、低血糖だって言ってましたけど。まぁ、そのつまり、腹が減り過ぎていたようで…」

「腹が減り過ぎてた?」

「バレーやってる時は定期的にこちらで夕飯ごちそうになってたんで、恥ずかしながら家で食べる食費ケチってたんですよ、ね。で、バレー終わってからも、家で食べるのはそのままの感じで過ごしてたら、昨日の様なザマでして…。スミマセンでしたっ!以後、このようなことが無いように自己管理はしっかりします」

光俊は、もう一度深々と頭を下げた。

「…そっか。もちろん自己管理は頼むけど、食費ケチったってのは、ひょっとして、例の借金返済の為か?」

光俊はゆっくり顔を上げて、小さく頷いた。

「そうか。ま、立ってないで座っていいぞ」

「すみません」

「まだしばらく返せそうにないのか?」

「はぁ、しばらくは」

「そうか」

「でも、こちらにお世話になって、返済に当てられる額が多くなったので以前よりは急ピッチで返せてはいるんです。それで、つい、調子に乗って食費まで注ぎ込んでしまって…」

「プライベートなことだから、首を突っ込む気はないが、あんまり無理するなよ」

「はい」