好きって言っちゃえ


「…キンピラゴボウとか?」

「なんか、リアルなメニューっすね。あっ!桃子さんが買ってきた、買い物袋の中覗き込んだっしょ?」

「っ!んなことしてないわよっ!…ごぼうが見えただけよ、見えただけ」

「フっ…」

「な、なによ」

ボソボソと呟く舞を見て思わず笑った光俊を睨む舞。

「いや、意外と正直だなと思って」

「?」

「だから、気になるんっしょ?チーフの事。好きだったんじゃないんすか?」

「…違うって言ってるじゃない。だいたいね、悠ちゃんは元々お姉ちゃんのことが好きだったんだから…」

「お姉ちゃんって、社長の奥さん?」

「そうよ」

「それっていつ頃の…」

「私が保育園の時〜」

「は?」

キョトン顔の光俊に畳みかけるように舞は顔を睨みつけながら続ける。

「そうよっ!仰る通り、人生初私を振ったのが悠ちゃんよっ!なんか文句ある?」

「…ありません」

舞は、自分の勢いのまれて引いた光俊を見て、きっと今自分がスゴイ形相をしているに違いないと確信して無表情に戻しつつ、立ち上がった。

「……帰る」

玄関で靴を履こうとする舞の背後に光俊がやって来て背後から声を掛けた。

「ほんと、ご馳走さまでした」

振り返ると舞は、

「明日、余計なことは言わないように」

と、光俊を見つめて釘を刺した。

「ん?それって、パスタ作ってくれたことっすか?それとも初恋がチーフだったってことっすか?」

「両方っ!」

ムッとして、出て行く舞に思わず笑ってしまう光俊であった。