哲平が、大きな声を出したところで、剣二が腕組みをしたまま哲平を見た。
「お前は黙っとけ」
「…」
剣二に注意され、シュンとなる哲平。哲平が静かになったのを見計らって、剣二は悦子を見た。
「お義母さん。僕も悠一くんのことは気にかかっていたんですよ。それで、ブライダルハウス参入の件も悩んでたんです。やっぱり、2人だと手が回りきらなくなるのは分かっていましたから、決断しきれなくて。だけど、お義母さんがそう言って下さるなら、僕にも一つ案があるんですが、いいですか?」
「ええ、もちろん」
「僕は、愛との結婚をお義父さんに許してもらうために、京極家に養子に入って、写真館を継がせてもらいました」
「無理を言ったわよね」
「いえ、そんなことはないですよ。ただ、お義父さんが生きていらっしゃったら、哲平に三代目を継がせたいと思われたと思うんですが、お義父さんが亡くなられた後を、悠一くんに助けてもらったからには、もう、家族経営の枠を超えてしまったと思うんです」
「そうね」
「だったら、やっぱり悠ちゃんと舞が結婚したら、皆家族じゃん」
哲平が誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟いたが、剣二にジロっと睨まれて、再びシュンとなる。



