「舞みたいに結婚する気がないんならいいけど、悠ちゃんはいずれ結婚だってしたいでしょ?」
「…」
「今のお給料じゃ、結婚したくても出来ないんじゃないの?」
「そうかもしれませんね…」
「じゃあ、もう、悠ちゃん、舞と結婚すればいいじゃん。…イテっ」
余計なことを言って再び足を摩るはめになった哲平の発言は無視して、悦子の話は進む。
「だから、お父さんの残してくれたお金で寮を建てて、愛が残してくれたお金をブライダルハウス参入のための資金に当てたらどうかと思って。どう?剣二さん」
「そうですね…」
剣二は腕組みをして、テーブルの端を見つめ考え込んだ。
「で、おばあちゃん、その話のどかが僕に関係あるの?」
と、哲平。
「つまり、写真館にお金全部使ったら、哲平の為のお金は、もう無くなるから、そのつもりでねってことよ」
「え?つまり、僕のための貯金を、悠ちゃん為に使うってこと?」
「悠ちゃんの為っていうか、写真館の為よ」
「え〜っ。でも、だったら、やっぱり舞が悠ちゃんと結婚すればいいじゃんっ!!」



