家に帰ると、真っ暗な部屋の中に一匹の猫が玄関にいた。
黄色の目に、真っ黒な柔らかい毛並みだ。
名前はブチ。
いつもブス〜っとした顔してるからブチ。
体型はぽっちゃりで、のたのた歩く後ろ姿は何度見ても愛らしい。
「ただいま、ブチ。」
「ニャァァーーーーー」
鈍った声でのお出迎え。
安心する。
家って感じがするから。
私の家はいつも殺風景だ。
ブチがいるからまだいいけど、私たちがいなくなったらブチが一人だと考えると可哀想に思える。
私はブチを抱っこする。
「ブチ。おまえ一人だと寂しいよな…。ごめんね、一人にさせて。」
ブチは鈍い声をブニャって言う。
意味はわからない。

