「せやから——」

「忙しいところ、ご迷惑おかけしてすみませんでした。これからはちゃんと、学校にも行くんでご心配なく!そこにいる由美子さんにも伝えてください」

「あっ、ちょ、紗和ちゃ——」

相手の返事を待つこともなく、終了ボタンをタップする。

通話が切れると静寂が訪れ、知らぬ間に張っていた緊張の糸が切れた気がした。

「あっ……最悪」

盛りつけ途中だったフレンチトーストは、この数分で少し冷めていた。

レンジで温め直す気力もなく諦め、仕方なく冷めたフレンチトーストを皿に盛りつけて食べる。

温かくもなく、冷たくもないそれが、今の私自身のようで微妙な気持ちになった。

結局その日、紗和は学校に行くことはなかった。