私と先生のほうかご特別授業。

でも、やっぱり
クラスのみんなが言ってたことが頭によぎる






『ホームルーム委員として仲良くするように言われてるんでしょ、』







本当は私なんかと一緒に過ごしたくないのかな






仕事だから、私と一緒にいるのかな?






「おい、みーのーり!」






「はっ、なに?!」






ぱちんっ





おでこで小さくはじけた音がした
それと、一瞬の軽い痛み




「いたっ」






「今ぼーっとしてたでしょ」






どうやら私は新川君にデコピンされたようだ
少し赤くなったおでこを手で抑えた





「なに悩んでんの」





新川君は腰を曲げて、私と目線を合わせて
いたずらっぽい笑みで私の顔を覗き込んだ





「別に悩んでなんてないし」







「嘘、






じゃあなんでそんな顔してんの」







「」






新川君はなんでもお見通しなようで、







何も言い返せなくて







「新川君は…」








「俺?」








「新川君は、ホームルーム委員だから嫌々私に話しかけてるの?本当は私なんかとご飯とか食べたくないんじゃないの?」






「…」







え、なんで何も言わないの






やっぱり、そうだったんだ







もうそんなことしなくていいから、
そう言おうとした瞬間



ブッ




新川君が盛大に吹き出した






「みのり、何言ってんの?そんなことで悩んでたの?」








「そんなことって何!私は新川君が無理してるんじゃないかって…」






「そんなわけないじゃん!」





「え?」






「ただ俺が仲良くなりたくて勝手に絡んでるだけだって


誰かに言われたからそうしようなんて
そんな風に人と関わったりしないよ」







「だから、心配すんな」







新川君はにっこりと笑って私の頭をわしゃわしゃかき回した






「もう、髪の毛ぐちゃぐちゃ」







私もつられて笑う
楽しそうな新川君を見ていると私まで楽しくなった





新川君の笑顔は真っ直ぐで
その言葉に偽りがないことを何よりも証明してくれる







すると突然新川君は思い出したように指を鳴らした







「あ、そうだ
じゃあ俺からのお願い聞いて!」






「お願い?」







「俺達が本当の友達だって再確認出来たところで、
俺のこと風って呼んでよ!」






「ふう?」








「なんか俺ばっかり馴れ馴れしくしてるみたいでさ、
ちょっと寂しかった」





確かにいつも新川君は私のことを下の名前で呼ぶけど、
私は呼んだことないな







今までは下の名前で呼ばれるの、少し嫌だったけど




なんだかちょっと嬉しいことのように感じる






「うん、わかった
風君って呼ぶね」






「おう!」





風君は勢いよく頷いた






いつもニコニコしている風君だけど、
いつも以上に明るい顔で笑っている気がした