【夏目 みのりside】
ほこりっぽいロッカーが並ぶ薄緑色の長い廊下
放課後の実習棟はいやに静かだ
ホームルーム棟の別館にあたるこの棟には理科講義室やら視聴覚室が並ぶ
グラウンドからも離れたぽつりとした空間
運動部の声出しや、吹奏楽部の演奏が混じりあって微かに頭に流れ込んでくる
私、夏目みのりはそんな実習棟の最南端
英語科準備室に向かっていた
ガラガラ…
小窓に小さな黒いカーテンのかかったドアは、
ぎこちない音を立てて開いた
つん、とほこりと煙草の臭いが鼻についた
「先生、」
乱雑に積まれた参考書が窮屈そうに載せられたデスク
その前では英語教師、兼担任___桜葉 幸彦先生が煙草をふかしていた
教師のくせに茶色く染められた髪の毛
ゆるくパーマのかかった毛先
ぱっちりとした瞳は色素が薄い
きらきらと蛍光灯の光が反射してビー玉みたいな目
「待ってたよー」
子供っぽい笑顔が彼の童顔を引き立てる
灰皿にぐりぐりと煙草を押し付けて、
桜葉先生は立ち上がった
甘ったるい顔とは対照的に、すらっと高身長
ボタンを開けた首元の緩いシャツに羽織られた白衣
英語教師のくせに白衣、
楽なんだって
「夏目さんが呼ばれた理由、言わなくてもわかるよね?」
ほこりっぽいロッカーが並ぶ薄緑色の長い廊下
放課後の実習棟はいやに静かだ
ホームルーム棟の別館にあたるこの棟には理科講義室やら視聴覚室が並ぶ
グラウンドからも離れたぽつりとした空間
運動部の声出しや、吹奏楽部の演奏が混じりあって微かに頭に流れ込んでくる
私、夏目みのりはそんな実習棟の最南端
英語科準備室に向かっていた
ガラガラ…
小窓に小さな黒いカーテンのかかったドアは、
ぎこちない音を立てて開いた
つん、とほこりと煙草の臭いが鼻についた
「先生、」
乱雑に積まれた参考書が窮屈そうに載せられたデスク
その前では英語教師、兼担任___桜葉 幸彦先生が煙草をふかしていた
教師のくせに茶色く染められた髪の毛
ゆるくパーマのかかった毛先
ぱっちりとした瞳は色素が薄い
きらきらと蛍光灯の光が反射してビー玉みたいな目
「待ってたよー」
子供っぽい笑顔が彼の童顔を引き立てる
灰皿にぐりぐりと煙草を押し付けて、
桜葉先生は立ち上がった
甘ったるい顔とは対照的に、すらっと高身長
ボタンを開けた首元の緩いシャツに羽織られた白衣
英語教師のくせに白衣、
楽なんだって
「夏目さんが呼ばれた理由、言わなくてもわかるよね?」
