「ふぁあ~ふ・・・。」
ねむい~。
大あくびをしながら、古典の『村瀬』の話を聞き流す。
昔の人の事なんて、私にかんけーないっつーのぉ・・・。
周りのみんなも、机の下でスマホいじったり、グーグー寝たり。
その中でも、あいつはひときわ目立っていた。
「おい、コカゲ~。何爆睡してんの~?」
「んん~・・・。」
ナナメ前の男子を、かるーくこづく。
でも、全く反応なし。
もー、とふくれながら、少し長めの髪をひっぱる。
「こーかーげー!!」
あ、起きた。
「・・・おはよー。てか、髪ひっぱんなよ~。」
「寝てるほーが悪いから―。」
痛そうに後頭部をおさえる姿に、ちょっと笑っちゃう。
そんな私のくすくす笑いが聞こえたのか、じろっとにらまれる。
「お前だって、いつも寝てんだろー。」
「コカゲ程じゃないけどねー?」
「うっせよ~。」
頭を軽くはたかれて、思いっきりはたきかえす。
「った!!ちょっとソラ、お前のいてーんだけど!」
痛くなかったら、やらないも~ん。
心の中で言い返してると、村瀬がこっちを向いた。
「おーい、そこー!いちゃいちゃしてるヒマあんだったら、ちゃんとノートとれよー。」
うっ。
思わず、動きが止まってしまう。
だけど、けらけら笑うコカゲが空気を和ませた。
「いちゃいちゃなんてしてないっすよー。」
その言葉に、ほっとしたような、悲しいような。
確かにコカゲは、私のことなんて何とも思ってない。
でも・・・、ちょっとぐらい照れてくれてもいいじゃんか。