次の日。
大あくびをしながら席につくと、さっそくコカゲが近づいてきた。
にこにこしちゃって、どうしたんだろう。
そんなことを思いながら見ていると、コカゲが何かを取り出した。
「じゃじゃーん!!」
私の目の前に現れた紙。
ええっと・・・。
目をこらすと、小さな字で書かれていた。
「特別、優待券?」
「そー!お前の好きな店の!俺の兄ちゃん、あそこで働いててさ、俺が日曜日に行くかもって言ったら、これくれた!」
自慢げに笑うコカゲが、すっごくかわいかった。
私もつられて、笑っちゃう。
「おー!ありがとー!」
そうお礼を言うと、クラスメイトのノンちゃんが近づいてきた。
「おっはよー!」
「あ、おはよー。」
「なにそれー?」
ひょいっと、コカゲの手から優待券がうばわれる。
「ちょ、かえせよ!」
「はいはい、ごめんねー。って、これめっちゃいいじゃん!」
ノンちゃんが目を見開いた。
「えー、いきたーい!」
え。
「あたし、このお店すっごい好きなんだよね!ねーだめー?」
「えっと・・・。」
困ったように、私を見つめるコカゲ。
私も、気まずそうにほほえむ。
できれば、ふたりがいいんだけどな。
「いつ行くの~?」
そんな空気を読んでか読まないでかはわからないけど、ノンちゃんがどんどん話を進めていく。
ああ、どーしよー?!
と、その時。
「ノン、あんまり邪魔しちゃだめだよ。」
マコトが近づいてきた。
「ええー?」
つまんなーいと言わんばかりに、顔をしかめるノンちゃん。
でも、マコトがそれをたしなめてくれた。
「しかたないよ、今回はあきらめなー?」
「ちぇー・・・。」