「だから、好かれないんでしょ。」 斉藤ゆきは胸ぐらをつかむ。 乾いた音とともに、頬にじーんとした痛みが走る。 頬を手で押さえるともう一度殴ろうとするので、もう片手で斉藤ゆきの手を掴む。 「ふざ「プルルルル♪」 斉藤ゆきの言葉をさえぎるように、彼女の携帯に電話がかかった。 電話に出るとコロッと声が変わる。 「わかった、来るから待っててね。」 甘い声。 相手は理央だって、すぐにわかる。 幸せそうに笑って「またね、理央。」と見せつけるように言った。