早朝会議も終わり会議室を出るとファッション雑誌【LUNE SOLEIL】の編集長石田さんから声が掛かった。


「鈴木頑張ってるじゃん!」


「なんとか頑張ってます」


「売上凄いじゃない社長賞間違いないね?」


「はいこの調子で社長賞頂ますよ!」


「アハハ、私も頑張らないとね?それより木村の事聞いた?」


石田洋子(いしだひろこ)さんは私が以前居た雑誌の編集長で稔との事も知っている人だ。


「はい…」


「もう直ぐ戻って来るらしいけど、木村と関わらないようにしな!」


「それどういう事ですか?」


石田さんの言ってる意味が私には分からなかった。


「木村、奥さんの事で色々あったのは聞いてるよね?」


「はい…噂は…」


「奥さんの不倫相手と言うか元カレと言うか…その相手に慰謝料を請求してるらしい…」


「えっ慰謝料ですか?」


「あぁ…木村の気持も分からんではないけど、相手は取引先の人だから上も問題視している」


「……」


「【lune】の編集長をやっと手に入れたのに鈴木まで上に目をつけられてはまずいでしょ?」


「……」


「鈴木は木村にまだ未練があるの?」


「いえ、未練なんてありません…もう過去の事ですから」


「なら良い、築き上げた物を大事にしなよ!」と去って行った。


そう…稔との事はもう過去の事