ツケマお化けに恋して

翌朝、携帯のアラームで目を覚ますと熱も下がったようでスッキリ起きる事が出来た。

辰次郎さんが作って置いてくれたのだろうテーブルの上には少し大きめのおにぎりが2つ置いてあった。

鮭と梅干しのおにぎりは、塩加減がちょうど良くとても美味しかった。

食事を済ませるとシャワーを浴びいつも通り出社した。

自分のデスクのパソコンで社内メールを見ていると活き良いよく扉が開いた。


「おはようございまーす。あっ編集長昨日はご馳走様でした。もぅ体、大丈夫ですか?」


「おはよう!美貴野、昨日は鬼の撹乱ってやつか?」


朝から元気な入社3年の仁美ちゃんと同期で副編集長の橘広海が声を掛ける。


「おはよ!誰が鬼じゃ?!それより書店周り頼むよ第一号がどれだけ売れるかでうちの存続が決まるんだからね?」


うちの会社は大手の出版社と違って発売から一週間は各編集部で営業のフォローもする事になっている。

置いて貰っている書店を周り各書店にあったポップの提案をしたりして少しでも売上アップに繋げている。


「はい!」と仁美ちゃんは良い返事だ。


「美貴野、最近また痩せたんじゃない?ちゃんと食べてるの?また柿ピーばっかり食べてるんでしょ?」


宏海とは以前の部署にいる時から良く宏海の家で朝まで飲み明かしていた。

私が一人暮らしになってからはもっぱら社に近い私の家で仕事の事や男の話などで飲み明かす様になった。

付き合った男より私の事を良く知ってるかもしれない。


「アハハ…よくお分かりで?それより宏海、再来月号の巻頭企画考えてくれてる?明後日の会議迄だからね頼むよ!」


「はいはい、頑張って良い物考えなきゃねぇ?でもまだ昨日の酒が残ってるから頭回んないや!ちょっと営業でイケメンと一服して来るわ」

宏海は微笑んで今入って来た扉を出て行った。

宏海はいい加減に見えて根は凄く真面目で仕事も絶対に期待を裏切らない。

私がこの部署に宏海を引き抜く時も宏海の上司に随分反対されたが部長がなんとか話をつけてくれたのだ。

今となっては公私ともに居なくてはならない存在になっている。