ん…冷たくて気持ちいいー…


「ん…」


額には冷たいタオルが当ててあった。


「起きたか?」


とても渋くていい声…泥棒?…じゃ…無いよね?…


「誰?…」


「ミチルよーミチル!」


今度は聞き覚えのある声だけどいつもと違って短髪で素顔の辰次郎さんはスウェットを着た、ただの渋いおじさん。
いやいや結構イケてるおじさんだ!


「杉下さん!!どうして?」


「コンビニにタバコを買いに行こうとエレベーター降りたらあんたが倒れて来た、それより冷蔵庫空だったけど何食ってるんだ?取り敢えずうちにあった物で雑炊作って来たけど食べれるか?」


時間に不規則だし料理が苦手の私はコンビニのお弁当にお世話になっている。

最近家ではビールと柿ピーぐらいしか食べていない。


「…うん、ありがとう…」


杉下さんが作ってくれた雑炊は出汁が効いていて美味しい。
ホッとする味だった……


「雑炊美味しいありがとう…あっお店は?」


「今日は空調の点検で店は休みだ」


「そうなんだ?」


「それ食べたら薬飲んで寝ろ!鍵はドアのポストに入れとくからな?」


その後も杉下さんは何度もタオルを冷たいものと取り替えてくれていた。

薬を飲んで暫くするとお腹もいっぱいになったからかいつの間にか寝てしまったようだ。