「…」
「…」
(気まずいっ…。何か話題がほしいよ…。)
ジーっと見ていた先輩がやっと話してくれた、と思いきやこの言葉。
「何でここ来たんだよ。」
まぁ、そうだよね。それが普通の反応だから。自分自身、なんでこんな部室に来たのか解らなくなってきた。そう…。確か朝…。

☆☆☆

(嫌だ!なにこれ…。痴漢!?)
電車に乗っていた私は初めて痴漢にあった。その時少しパニックになっていたのかもしれない。怖くて、怖くてすくみそうだった。ふいにその時ー…。
「おいっ。おっさん何やってんの。女の子が怖がってんじゃねーか。」
(良かった。誰か助けてくれたんだ。お礼をしなくっちゃ。)
「あ、あのっ。先程は有難うございました。」振り向きながらそう言うと、
「 どういたしまして 。 その制服 うちの学校だよね。 そのネクタイの色、 もしかして一年生 ? 名前は?」
「一ノ瀬 かおるです。」
私はおずおず言った。
「 かおるちゃん か。よろしくね。 今日入学式だけど 間に合うの。 大丈夫?」
先輩に言われてハッとした私。
「 すいません 。さっきは、助けてもらったのに… 。」
「 あはは…。大丈夫 俺 秋元俊也って言うんだ よろしくな。 ちなみに学年は、 2年だ。」
「それではお先に失礼します。 」
私が、走り出した時、何故か先輩はニヤリと笑っていた気がする。いいや。気のせいだよね。あんなにも、気さくな人に限ってそんな事あるはずかないもん。多分私の気のせいだよ、多分。