「あ、あの人は?あの人誰?」



そう!
忘れるところだったっ!

哲平が肩に手を回していたあの綺麗な人。




「…小百合さん?」

「…。」



小百合さんって言うんだ…
なんか名前まで可愛い。



「会社の先輩。」

「の、飲んでたの?2人で…」



向かい合っていた哲平がごろん、と反対の方向を向く。



「…相談してたんだよ」

「え?」

「…電話すんの俺ばっかりだし、どう接していいか分かねぇとか。…全部お前のこと。」

「え//」


哲平の背中を見つめる。
愛しい彼氏の背中を。




「で、少しは引いてみろって言われて…電話我慢してたってのに。」

「え、そ、それで少なかったの?」



「何?気付いてた?」

「…うん。」



ちょっと寂しかったのに。
策略だったとは…



「朱実。」

「ん?」

「今度はお前から連絡して来いよ。」





にやっと笑った顔を見て、
私は少し後ずさる。




「…2ラウンド目、行ってみる?」

「なっ!」










今度こそEND