少し緊張しながら原稿を渡し、栗原さんはふんふんと頷きながらペラペラとめくっていく。
俺も桜の緊張が移り、変に緊張してしまう。
咲人さんはそれとは関係なくさっきから緊張している
沈黙が続き、桜の緊張も増す。
「うん。良いんじゃない?」
長い沈黙が破られ、止まっていた息をはぁーっと吐き出す。
「本当ですか!?」
「うん、ほんとほんと。初めての割には凄い良く出来てると思うよ。特にこの壁ドンのとことかもうキュンキュンするだろーねー」
「「!!」」
俺と桜が少し反応してしまう
や、役に立って良かったです…
「あ、ありがとうございます!」
頭を下げながら言う桜は本当に嬉しそうだった。
本当に桜は小説家なんだな。先生って呼んじゃいそうだよ
「んじゃこれ預かっとくな、編集部の人に渡しとくから。」
「よろしくおねがします。」
鞄に原稿をなおし、テーブルの上のタルトを手に取ってそのまま1口。
「あ、フォークありますよ?」
「ん?あぁいいよ。めんどくさいし」
おぉ、かっこいいですね。栗原さん。

