「良かった、ギリギリセーフだ」
「ほんとだぁ、ありがとう。ごめんね朝から疲れさせて」
門の時計の針は28分となっていた。
本当にギリギリセーフだ。
蛍と一緒に上まで上がり、お互いの教室に入った。
すると、女の子達が一斉に私を見た。
…なんだろ、遅刻はしてないんだけど
「ねぇねぇ春野さん」
「はっ、はい」
その中の1人の女の子に声をかけられた。
えっと、この子誰だっけ。やばい、私全然皆の名前覚えてないや。
「あのさ、もしかして泉と付き合ってるの?」
いきなりそんな事を聞かれた。
「えっ、えぇ!?蛍と?ないですよ!」
目の前で手をぶんぶんと振り、完全否定する。
何でそんな事になるの!
「だって朝一緒に自転車乗って登校してたし!昼休みも放課後も、最近一緒にいるでしょ?それで付き合ってないのはおかしいよ!」
その人はグイグイと近づいてくる。
いや、あの近いです。後目立つのでそう言うのはちょっとやめて欲しいんですが…
だけどそんな心の声が聞こえるはずもなく、他の人達も私とグイグイ女に視線は釘ずけだ。
「泉ってそこそこモテるから、気をつけといた方が良いよ。」
「気をつけるって、何を……」
「そんなのきまってるじゃん」
耳元に唇を近ずけ
「泉の事が好きな女からの嫌がらせ。」
「えっ…」
「あ、私は泉に興味ないからどうでも良いんだけどねー。あ、私美作愛(ミマサカメグム)春野さんの後ろの席です!」
えっ、後ろの席?知らなかった…
「よろしくね」
「よっ、よろしくお願いします…」

