「桜は重くないだろ」

ガタッと自転車から降り、スタンドを立てた。

そして私の前に立ち

背中と膝裏に手を添えられた。


「えっ!?けっ、蛍!何!?おっ、降ろして!」

いわゆる、“お姫様抱っこ”を急にされ、自転車の後ろにポンっと降ろされた。


「ほら、重くない」


「えっ、あっ、うん…」


「よし、帰るか」


帰るかって、スッと抱っこされて急に距離近くなるし、重くないとか言われるし……


1人で顔真っ赤にしていると、自転車が走り出した。

校門を出たらすぐ、長い坂を降りる事になる。


速い!それより少し怖いかも


「桜!」


「はい!」


「……つ……け………よ」


「なんてー?聞こえない!」


この坂は車がよく通る。だから蛍の声も車のエンジン音で遮られてよく聞こえない