廊下は、来た時よりも暗く、生徒もいない。

生徒の声と言ったら、グラウンドで運動部のかけ声が聞こえるくらいだ。


「そう言えば、蛍て家どこなの?」


「俺?桜の家真っすぐ行って、コンビニ曲がったとこの茶色いマンション」

あ、意外と近いんだ。

お兄さんの喫茶店も近かったもんね


「あ、なぁ、桜って歩きだよな?」


「うん。運動がてらにねー、蛍も歩きでしょ?」


家から学校は、運動にはちょうどいい距離だ。だから運動不足の私にはちょうどいい。


「俺昨日まで自転車パンクしてて、修理し終わって今日から自転車なんだよ。」

あ、蛍自転車通学なんだ。

じゃあ一緒に帰れな…い……って!何ガッカリしてんの!?当たり前じゃん!昨日はたまたま送ってもらっただけで、これから毎日なんかあるはずもないし!彼女でもないんだし!