彼は私のただの助手!



確かに、壁ドンなんか漫画の中でしか見たことないもんな


「…じゃあ、やってみる、か?」


「え?」


「壁ドン。してみたらわかるんじゃないかなって、その為の俺だろ?」


「そ、うだけど…」


少し頬を赤く染めながら悩んでいる桜。

そんな顔すんなよな、こっちまで顔が赤くなりそうだろーが


「じゃっ…じゃあ…お願い…します……」


「……おう…」


すっと椅子から立ち、壁にもたれる桜。

「何か…その……どうゆうシチュエーション?あ、後セリフあるならそれも言うけど」


「あっ、えーっと…空き教室に男の子と女の子がいて、逃げようとする女の子に壁ドンして、『逃げんな』って言う感じなんだけど…」


密室で女が逃げるとこを壁ドンで逃がさないようにする。後セリフ付き。

ちゃんと緊張せずに出来るのか俺は


「おっけ」


広い図書室の奥の壁に持たれている桜に、肘から手首の間を壁に押し付ける。

背の低い桜の耳元に


「逃げんなよ。」


いつもより低い声でそう囁いた。