「寝ないの?」
昼休みに借りた本を鞄から出し、読みかけのページを開いた。
「んー、原稿書く!」
「そっかそっか、眠くなったら寝ろよ。昨日遅くまで書いてたんだろ」
「え、なんで知ってるの?」
「見てたらわかるよ」
休み時間や昼休み、放課後も家に帰ってからも書いているならだいたいわかる。
小説家もたいへんだな、でも体壊したら意味ないんだけどな。
スラスラと書いている手が止まったのがわかった。
そして、うーん、と悩んでいる。
それが10分位、書いては消しの繰り返し。
「どうかしたか?」
「あっ、ちょっとわかんない事あってね。
壁ドンされた女の子の気持ちとか、している方の男の子をどう表現したらいいのかとかが。」

