「向こうで少し寝たらいいよ。ほら行くぞー」


「うん」


机の横にかけていた、小さなくまのぬいぐるみが付いているクリーム色のリュックを肩にかけ、もう1つの、原稿とかが入っている鞄を手に持つ。この鞄にもくまの絵がプリントされている。

くま好きなんだな。


「んじゃねー桜ちゃん!」


「さようなら、後下の名前で呼ばないで下さい。」


ひらひらと手を振るその男。

なんなんだよ、馴れなれしい。



昼休みも行った図書室へ2人で向かう。

何を話すでもなく、不揃いの足音が静かな廊下に響く。

桜はまだ眠いのか欠伸を噛み殺していた。


図書室に着き、桜が鞄から鍵を出しガチャっと開ける。


そして昼休みと同じ席に座りすぐ原稿を取り出した。