「ふぁ〜……ねむっ」


HRの担任の話は無駄に長い。

休み時間の過ごし方がどうとか、夏休みが近づいているからと浮かれるなとか、なんかおんなじ事何回も言ってる気がする。


でもそんな長い先生の話もそろそろ終わるらしい。

「まぁそうゆう事だ。家帰っても勉強するんだぞー、それじゃあ解散!」


「おわったー!」
「今日カラオケ行かね?」
「今日服見に行こーよ!」

など、この後の計画を立てる者や、終ったと叫んでいる者もいる。

俺のこの後の過ごし方は、桜と図書室に行くことだ。


自分の席を立ち教室を出て、隣のクラスの扉から奥の方にいる桜を見る。


そこには寝ている桜の頬を男がつついているのが見えた。

なんだよ、あいつ。


躊躇する事なくずかずかと教室に入る。


「桜ちゃーん、HR終わったよー?」


「何してんだよ、どけろよその手」

男の腕を掴みながら言うと、「あ」っと声を出した。

だけどそんな事気にもせず、少し体を揺らし桜を起こす。


「桜、起きろ。HR終わったぞ」


「んっ……あと少しだけ…」


「後で寝れば良いだろ。ほら行くぞ」


「…ふぁーい…」


まだ寝起きの目を手で擦り、んんーっと伸びをした。


「…!ごめん!蛍!寝てた…」


寝ぼけて返事をしていたらし、俺だと気づいたのは今だそうだ。