取り敢えず鞄を置き、額に乗っているタオルに手をかける。


階段を降り、洗面所で桶に水を入れ、階段を上って部屋に入る。


火照っている頬にタオルを当て、最後に額に戻してやる。



「んん…っ…」


「あ、わりぃ。起こしたか?」


「蛍?なんで…」



顔をあげようとしたせいでタオルがズレた。



「起きなくていいから、寝とけ。俺は桜のお母さんに呼ばれて来たんだよ。何かあったら言え」


「うん…ごめんね」


「“ごめん”じゃなくて“ありがとう”だろ」


「うん…ありがと…」



そう言うと、また眠りについていった。