入口のお兄さんにお金を払い、懐中電灯を受け取っていざ出発。


中は真っ暗で外からの光が全く入っていなく、先に入った愛達も見つけられない。


「真っ暗だなー」


「そっ、そだね…」


足元を照らしてくれる懐中電灯がチカチカとついたり消えたりしていた。

それのせいで怖さがより一層増してくる


「なんも出てこねーじゃん」


「そっ、そうだね…蛍の言った通りそんなに怖く…」


ないかもね、と言おうとした時、足首の辺りを誰かに掴まれた


「いっ、いやだー!ごめんなさい!怖いです!」


「落ち着け桜!足掴まれてるんだよ!見てみろ人の手!」


ライトを足に当てて見てみると、その手はなんのメイクもしていない肌色の人の手だった


「ほんとだ…人だ…」


「ほんと怖がりだなー桜は」


「蛍と違って怖がりですよー」


ぶーっと頬を膨らまして拗ねていると、手に何が触れた


「ひっ!」


「バカ、俺の手だって。握っときゃ怖さも収まる」


その手は恋人つなぎで、付き合っているのだからそれは当たり前の行為なんだろうけど、2人で出掛けるのが少ない私達は久しぶりでいつもより心拍数がぐんと上がった。