「まぁ取り敢えず、桜乗れよ。話はそれからだ。な?」


車の後ろに荷物を直してくれた蛍が、私の肩に手を置きながらそう言ってくれる


「そうだね」


お兄ちゃんの隣に座り、その横に蛍が座る。

蛍が扉を閉めるのを確認してから、お兄さんがエンジンをかけた。


変な沈黙が生まれ、それをお兄ちゃんが破る


「まだ愛ちゃん達に話してなかったのか?」


「別に自分から話す事じゃないじゃん」


私小説家なんだー、とか話す人見たことある?そんなのただの自慢じゃん。


「確かにそうだけど、そんな怒んなよ」


「…別に怒ってないもん」


ただ、初めて友達と、それも彼氏もいるのに、その中にお兄ちゃんがいるのはびっくり以外のなんでもない。