彼は私のただの助手!



「い、いつもお世話になっています!春野桜です!」


緊張しているせいで少し声が震えた挨拶だったが、西野さんはハハハと笑いながら優しく対応してくれる


「春野さんの作品は皆から評判だよ。ほんとに高校生作家か疑う手紙も届いたくらいにね」


「そっ、そんなにですか!?」


「あぁ。だからもっと自信持って、皆が喜ぶ作品を書いてね」


眠たそうな目をこちらに向け微笑んでくれる


“皆が喜ぶ作品”


その言葉が、私の徹夜疲れを少し癒してくれた。



皆が読んでくれるから、皆が手を伸ばしてくれるから、私は作家として頑張れる。だからそれに合うような作品をもっと書こうと、書ける分だけ書こうと、そう改めて思った。



「春野さんは期待の星だ。これからも、頑張ってくれ。」


「はいっ!」


期待の星。そんな言葉はもう一生言われないかもしれない。
だから、だから私は、小説に人生を捧げる事ができる。


「んじゃ桜ちゃん、行こっか」


「あ、はい。西野さんありがとうございました。これからもよろしくお願いします。」


「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」


西野さんのその眠たそうな瞳の奥は、“疲れた”だけじゃなく、“楽しい”もある気がした。