テーブルを挟んで向かい合わせで座り、今朝書き上げたばかりの原稿をテーブルの上に置く
それを凛さんは静かに手に取りペラペラとめくって読んでいく
この時間が妙に緊張し、自然と体に力が入ってしまう
「うん、良いね。これならまた1発オッケーだよ」
「ほんとですか!ありがとうございます!」
原稿を封筒に直し、鞄に入れる
「桜ちゃんの書くのは皆に人気だよ。高校生でこれはすごいって。今まで推理ものとかばっかりだったでしょ?なのにこの作品はおんなじ人が書いたとは思えないほど違うって」
「そ、そんなにですか!すごく嬉しいです!」
ほんとは恋愛ものなんて書けるのか不安だったから、凛さんのその言葉ですごく安心した。
「よしっ、仕事の話はこれで終わり!桜ちゃん今から出かけるんでしょ?」
パチンと手を叩きながら言った
「そうですけど」
「なら久しぶりに私と出かけない?原稿渡してからになるけど」
愛用のヘルメットを見せながら言われた。
凛さんと出かけるのは数えるほどしかない。お互いの予定が合わなかったり、私があんまり外に出なかったのも1つの理由だ。

