ライトアップの時間が来たのか、目線の先は一気に光が灯った。


その光が、私の濡れた瞳に優しく映る


その瞳を萩野に向ける


「ごめんね。やっぱり私、萩野が好きだよ。萩野がどんなに桜の事が好きでも、私は…私は萩野の事が…好きなんだよ………っ…ごめん…ね……」


自分の瞳から大粒の涙が次々と溢れ出てくる。

あぁ、こんなつもりじゃなかったのに。

今泣いたら、萩野が困っちゃうのに。

きっと萩野の事だから、色んなことを考えているんだろうな。


「…俺、美作の事大好きだよ。でも、それはそう言うんじゃ無いと思うんだ。俺はまだ、春を諦められない。泉に勝てるわけがないって分かってるけど、だけどまだ、諦められないんだ。」


だからごめん。と、優しく静かに言ってくれた。


展望台には私達2人だけしかいなく、下にはたくさんの人が青と白に輝く魚の形をしたイルミネーションに目を奪われている。

でもそんな綺麗なイルミネーションも、私にはぼやけてしか映らない。




私の瞳には、ぼやけた無数の光と、困った顔の萩野しか映らなかった。