空を見上げ、綺麗な月が瞳に映る。
その月が、少しぼやけた。
涙が頬を伝いそうになった時、後ろの扉が開く音がした。
「ハァ…ハァ…やっと、見つけた…ハァ……」
走って追いかけて来てくれたのか、息を切らして膝に手をついている。
零れそうな涙を手で拭い、遠くの方を見る
「ごめん…まさか泣かれるほど嫌だったとはわからなくて……」
前髪を荒くかきあげながら謝られる
だけど、萩野は悪くない。
萩野の事を好きになった私が悪いんだから。
ゆっくり近づいてくる足音が聞こえ、私の隣で同じように下を見た
「あんまり女の子に優しくしすぎたらダメなんだよ」
「え?」
「優しくしすぎたら、女の子は期待しちゃうんだよ。相手に好きな人がいたとしても、自分が眼中にないってわかっていても、女の子は期待しちゃうもんなんだよ。
忘れたくても、忘れられないんだよ…」

