人混みの中から春の姿を見つけたと同時に、繋がれていた泉と春の手


わかってはいたんだけどな…


「…やっぱキツイなー」


髪の毛を荒くかきあげながら言った


「萩野、あの時ごめんね。」


手に持っている金魚をじっと見つめながらボソッと言われる


たぶん、金魚勝負の時の事だろう


「美作は悪くねーって。あの時春と一緒にいても、結果は変わらねーよ」


「ありがと。これあげる」


渡されたのは未開封のお茶。


「貰っとく。」


ゴクゴクッと一気に半分位飲む


「美作」


「ん?」


「俺、結構マジだったんだよ。だから…結構、今ヤバイ」


真っ黒な空を見上げ、込み上げてきそうな何かを必死に堪らえる。

星は都会の汚れた空気のせいで少ない。


「…こんな時位我慢しなくてもいいんじゃないの。」


その言葉のせいで、1つの雫が頬を伝った。