不安で泣きそうになっている私の腕が誰かに引っ張られる
「ひゃっ!」
「やっと見つけた。」
腕を引っ張ったのは少し息を切らした蛍だった。
「なに泣きそうになってんの」
「だって……蛍がいなくなっちゃったから……」
零れそうになっている涙をスッと指先でなぞり、手を下ろすとギュッと握られる
「…次はぐれたら困るから、少し我慢しろ」
「っ………うん」
ギュッと手を握り返し、ゆっくり進む
我慢しろ。
こんな事、好きじゃない子にはしちゃいけないし、言っちゃいけないんだよ。
離れないように手を繋ぎ、触れている部分が熱くなってくる
歩いていると人もいなくなり、灯のない静かな場所に着いた
「すごく、静かだね」
「だな」
もう人はいなく、はぐれるはずがないのにその手は繋がれたまま

