切符を買い、駅のホームに入ると丁度電車が来た。


「わっ、人いっぱい」


「まぁ帰宅ラッシュの時間帯だからな。はぐれんなよ」


一気に乗っていた人が流れるように出て、後ろに急かされながら中に乗り込む

次から次へと人が乗り込み、向かいのドアに背を向けた


「桜、大丈夫か?」


「うっ、うん…何とか……わっ!」


電車が出発するとその反動でバランスを崩す


「っぶねー」


倒れそうになる体を蛍が支えてくれて、今は蛍の胸の中


「帰宅ラッシュすげぇな」


「あっ、蛍もう大丈夫…」


顔を見上げそう蛍に言う


「悪い、人が多くて今動けないんだよ。苦しいかもだけど、着くまでこのまま我慢して」


「わかった……」


ドアにもたれ、私の頭の上に蛍の手があり、私の周りは蛍が守るような形になっているから見えない。


ちっ、近い…!わかってる、人が多いせいでこうなってるって分かってるけど、分かってるけど!!