元々は、たまにだけ食堂を訪れて、あの席でお母さんが得意とする手作り弁当を食べていた私だけど、初めてトウマくんを見かけた日ーーーー


名前だけ知っていた、トウマくん。

彼が食堂にやって来て、初めてトウマくんを見た。


彼はすぐに沢山の人に囲まれて、あっという間に見えなくなる。

でも、人混みの間からチラチラと覗く人懐っこい笑顔や、優しい微笑み。


私は一瞬で心を奪われた。


いわゆる 一目惚れ。


それからと言うもの、高校に入ってからの親友であるミワに協力してもらって、毎日食堂に通い詰めた。


また、彼を一目でいいから見たい。


私とトウマくんでは棟が違うから、見ようにも奥手で意気地なしの私には、トウマくんに声を掛けることも、彼に会いに行く勇気さえない。


やがて、毎日通い詰めていくと、彼の食道に訪れる日が把握できてきた。

水曜日と金曜日。


彼の来る日が分かっていても、私は変わらず毎日食堂に通い詰めていた。