元々、あの席は私のお気に入り。
日当たりが良くて、ポカポカしてて。
お昼寝には最高の場所。
まぁ、あんな所で寝たりはしないけれど。
そんな、私の特等席。
でも、彼が来てからは
もっともっと
好きになった。
「今日も最高にカッコよかったね!
トウマくん」
「うん。あの席に座ってて良かった」
「次来るのはいつだろうねー」
昼休みももうすぐ終わるというのにも関わらず、持参したメロンパンを食べ始めるミワ。
どれだけ食べても太らない彼女の胃袋はどうなっているのか気になる。
「ねぇー次ぐらいは席変わってよ〜
真後ろからじゃトウマくんの背中しか見えないんだよ?」
「ミワは俊二(しゅんじ)くんが好きなんでしょー。」
「あは。まぁそうだけどー」
トウマくんーーー日向(ヒュウガ)当麻くんは、私たち一年生の間では知らない人なんていないぐらいの有名人。
すらっとした体格に整ったお顔。
明るい性格でいつもクラスのムードメーカー。いわゆる学校一のモテ男子。
トウマくんは、いつも友達の俊二くんと食堂にやってくる。
そして、天気の良い日は必ずと言って良いほどあの席に座るんだ。
食堂の入り口から一番遠くにある場所であまり人気はない。私だけの特等席。