斜め前の席のキミ



自分の幼稚さに恥ずかしくなる。

下唇を噛んで下を向いた。

ダメだって分かってても…

言わなきゃいけない。



「あのですねっ、私の、勘違いかもしれませんが……、」


何て話を切り出そうか迷っていると、セイサちゃんが口を開いた。


「ルイちゃんって、トーマの事……
好き、なんですか?」


遠慮がちに聞いてくるセイサちゃん。


っ、私ってそんなに分かりやすいかなあ?

何て答えていいのか分からなくて、黙って首を縦に振った。


セイサちゃん、困るよね…
それに、こんな身勝手な私なんかには特に、トウマくんを渡したくないって思ってるはず……。





「やっぱりいいいい!!
絶対そうだと思ってたの!あたし!
ひゃああああっ。ドキドキするっ」


「……え? え、え?」

「あたし二人のこと超応援してるからっ!やばいっ。こりゃあ嬉しい!!」

「え、あの、………え?」



予想していた反応とは違いすぎて、
ぽかんと口を開けるしかない。

おまけに、セイサちゃんは私の手を握ってブンブンと上下に勢いよく振った。


「おめでとう!ルイちゃんっ」

「えっ、おめ、え?
セ、セイサちゃんっ!
どういうこと、なの?」

「うふふ〜。嬉しいなあ。楽しいなあ。」

セイサちゃんはトウマくんの事好きなんじゃなかったの?

聞こうにも、今の彼女には私の声は届いていないみたいで。


「うふっうふふふ〜ふ……はっ!」


しばらく、うふふを連呼していたセイサちゃんは我を取り戻したみたいで、辺りを見回した後、恥ずかしそうに下を向いた。