斜め前の席のキミ



「あとで、セイサちゃんに会いに行ってこようかな」

「うん、それがいいと思う。
ミワも着いて行こうか?」

「ううんっ、一人で行ってくるよ!」


セイサちゃんに、きちんと言おう。


ーーーートウマくんが好きだって。




「あのー、セイサちゃん。居ますか?」


昼休み。 私は食堂で昼ご飯を食べ終えて、セイサちゃんのクラスに来ていた。

教室の近くにいた女の子に聞くと、その子は中に入って、セイサー!お客さんだよー! と叫んだ。


「…お、おお客さん? トーマ?」

「ううんー、女の子」


中から聞こえてくる会話に私の心臓はバクバクと音を立てる。


「あっ! ルル、ルイ、ちゃんっ」

「あ、えと。 こんにちは」

「ここっこ、こっこんにちは!」


セイサちゃんは私を見つけると、かみかみになりながらも可愛らしい笑顔を向けてくれた。

その笑顔を見るの、自分の心に黒いモヤモヤが広がっていく。


「ど…うしたんですか?」

「昨日は、ごめんなさい!
途中で走って行っちゃって…」

「あ、大丈夫ですっ!ほんとにっ!
……怒った、わけじゃないんですか?」

「ううんっ!ぜんっぜん!
怒ってないっ。セイサちゃんこそ、怒ってないの?」

「お、おおおお!?怒るだなんて!
そんなっ。友達……なのに、そんなことありませんっ」

「…そっ、か。ありがとう」


心配してくれて、それでも理由は聞かないでいてくれて。