「ルーーーーイッ!」
「わっ!ミワ!」
背中にドン、と衝撃が走り振り返るとニヤニヤ顏のミワがいた。
「めっちゃ心配したんだけどー!
もうさ、学校中の女子が大騒ぎだよっ。
トウマくんが女子を拉致った〜!
ってさ。」
「…ミワおもしろがってんじゃん」
「えー?違うよ!
で、どうだった?話してみ〜?」
…やっぱりおもしろがってるんだ!
学校に戻り、ずっと校門で待ってくれていた先生にこっぴどく叱られ、教室に戻ってきた。
先生に理由を聞かれるとトウマくんは、
「家が近くて、お互いに忘れ物をしたので二人で取りにいってきました」
と済ました顔で答えていた。
いつかはバレちゃいそうなウソ。
でも、済ました顔でウソをつくトウマくんが可笑しくて、私は隣でずっと笑いを堪えていた。
そっか…そんなに大騒ぎになってたんだ。
やっぱりトウマくんは人気者なんだと改めて分からされたような気がして、さっきのひと時は夢なんじゃないかとまで思ってしまう。
私はクラスメイトの好奇心に満ちた瞳で見られながらも、ミワにいっさいの事情を話した。
それを聞いたミワは、目を輝かせる。
近くにいた女子もキャーキャー叫び声を上げた。
「それって凄いじゃんっ!
普通、そんなことしないよね!?
何その少女マンガみたいな展開〜っ」
「す、凄いのかな。確かに凄いけど。
トウマくんって、一回気にしたら分かるまで気が済まないんだって。
だから、特に意味はないんじゃないかな……」
あ、自分で言ってて虚しくなってきた。
「いやいやっ!それはないでしょー!
だってね。 実は昨日もさ、ルイが走って行った後トウマくんってばすぐに追いかけてったんだよ〜?
立花さん! って叫びながら走ってた〜
ルイの名字知ってたんだね?」
「…え、うそ。 トウマくん、追いかけて来てくれてたの?」
「そうそう。 セイサちゃんも、めっちゃ心配してたんだよー。自分が怒らせたって思ってるみたい」
ミワの口から聞く事実は、知らなかったことばかりで。
……トウマくん、あの後追いかけて来てくれてたんだ。
セイサちゃん、ごめんね。 心配してくれてたんだね。

