斜め前の席のキミ




「立花さんさ、セイサん時は握手してたクセに俺の時は泣き出すんだもんな
気になって仕方なかった」

「うー、ごめんなさい」

「俺のことキライ?」


ふるふと首を横にする。


いつの間にか日差しが強くなってきて、それはもうお昼だという事を示していた。

冬なのに、天気いいなー


空はいいな。 自分の好きなときに雨降て、曇らせて、晴れて。

そんな自由になりたいな


「良かった。 俺なんかしたのかと…」

「っち、違う違う! ホントに、トウマくんは何も悪くないのっ!
私が勝手に、泣いただーーーえ?」

「……」



空に向けていた意識を目の前のトウマくんに戻すと、彼は口元を抑えて頬を若干紅くしていた。


「え? え? え? ど、どどうしたのっ」

「いや。 その、立花さんが…俺の名前呼んでるから…ちょっとビビった」

「…へ。 名前……」


なまえ。 なまえ?



「っあぁぁーーー!?」

「うわっ!」


な、なまえ!


私、トウマくんの事ずっと名前で呼んでたから… ど、どうしよう!?

バカっ!バカっ!

なんて事するのよ、私!


あああぁぁぁあ。