「いいかーここテストに出るからな」


イマイチやる気のなさそうな数学教師の言葉を聞きながら、

襲ってくる眠気に負けて、少しだけ眠ってしまおうと思い目をつむったとき。


ーーキーンコーンカーンコーン


四時限目の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。


その瞬間、今までの眠気はどこかに吹き飛んだ。

そして、先程の私と同じように睡魔と闘っているミワの頭をぱちん、と叩いた。


「ん!? なにっ?」


頭を押さえて目を開けたミワを引っ張り、走り出しながら叫んだ。


「早く!食堂!行かなくちゃっ」


手にはお母さん手作りのお弁当と携帯。

それだけを持って全速力で走った。


「あ〜なるほど。 そういうことなら…」


グイっ


「わっ!?」


一瞬、ニヤリと笑ったミワが私の腕を引っ張った。

さっきまでとは逆。

現役陸上部で、足の速いミワは私の腕を掴んだまま猛スピードで廊下を走り抜けていく。


「っはぁ、はぁ…
速い、なぁ。 もう…」


食堂に着く頃には、もう冬だというのにうっすらと汗をかいている程だった。