「ひゃあぁ〜っ。 どうしよう!」

「だからなに言ってんのって。
さっきからブツブツ呟いてるけど、ミワにも分かるように話してくんない?」

「か、隠れなきゃっ」

「て、ちょっと! どこ行くのよー!」


私は背を小さくかがめ、人ごみの中に入って玄関口を目指した。


もし、本当に私を捜してるんだとしたら……今の私は、トウマくんに会わせる顔なんてない。


トウマくんがなんの用事でここに来たのかは分からないけど、取り敢えず今彼に会うことは出来ない。

きっと、目も合わせられない。


昨日まではトウマくんと目が合うことがあれだけ嬉しかったのに……

今は、恐くて彼の姿さえも直視出来ない。

「ルイーー! 危ないよっ!?」


後ろからミワの声が聞こえるけど、
今はごめんねっ。


だって、あんなに優しく握手を求めてきてくれたセイサちゃんにも、失礼なことしちゃったから。

あんな場面で泣くなんて、相手にとったらムカつくよね。


トウマくんも、セイサちゃんも、怒るよね?


「きゃっ! ちょ、なに!?
足踏まないでよっ」

「あっ。ごめんなさい」


人の波に呑まれて、トウマくんがどこにいるのかは分からないけど、玄関口がだんだん近づいてきた。


よし…あともう少し!


そう思って、かがめていた背を伸ばそうとしたとき、