一人でもんもんと考え続けていると、急に玄関口が騒がしくなった。
時折、叫び声も聞こえる。
「なに? 朝っぱらからうっさいなぁ」
「…どうしたんだろう」
誰か人が倒れたりしたのかな…?
でもそれにしては、やたらと女子の声が大きくて叫び声と言うより、歓声?
「早く行ってみよ!」
面倒くさそうなミワの腕を引っ張って、玄関口の近くまで行った時、ようやくその正体が分かった。
「トーマ先輩っ! どうして此処に!?」
「ちょっと、用事が…」
「初めてこんな近くで見たぁ〜。
お顔ちっちゃくてカワイイ!」
「あ〜! あたしのトーマ様!」
先輩、後輩、同学年。
年構わず沢山の人に囲まれている、
トウマくん。
それはそれはもう、女子のみんなは大喜び。
私たちの棟と、トウマくんの棟では全然場所が違うから玄関口だって違う。
この玄関口にわざわざトウマくんが来るなんて……どうしてだろう。
「はっ! もしかして……昨日の私が原因っ?」
「は? なに言ってんの?」
そうかもしれない。
トウマくん、怒ってるんだ!
昨日私、セイサちゃんに対して愛想も無かったし… 怒りに来たんだ
"昨日はよくもセイサにあんな態度をとってくれたな!"
とか言って……

