と、三神くんの手がカットソーの下から進入してきた。
わわわ。
慌てて目を開ける。
「待っ……て……」
唇を合わせたまま、無理矢理しゃべる。
三神くんと至近距離で目が合った。
睨むと、唇を少し離してくれた。
今にも触れそうな距離だけど。
「は、早くない⁉︎ さっき告白したばっかだけど⁉︎」
「それが何か?」
「心の準備とか、いろんな準備とか、あるんだけど! 昼間からソファでとか、どうなのっ⁉︎」
語尾がスタッカートになったのは、三神くんが私をお姫様抱っこしたからだ。
「分かった。ベッドに行く」
「ちょっと待って。そういう問題じゃなくて! その前に、私を抱っこって重いでしょ。腰痛めたら大変」
「これくらい平気。心配ならしっかりしがみついててよ。綾乃はヴァイオリニストとしての僕には過保護だよね。ただ、これから理性が吹っ飛ぶだろうけど、腰には注意する」
「いやいや、そうじゃなくてですね。展開早すぎるって思わない⁉︎」
「思わない。言ったでしょ。僕はずっと待ってた」
「それは三神くんだけでしょ。私としてはですね、もっとこう、進むまでのドキドキも恋愛のうちというか」
「あははっ、綾乃、やっぱ面白いや。そういえばロマンチストなんだったね」
そう言いながら、リビングを出て二階へと向かう。
