「よかった。自分史上技術的にピークだった演奏で落とせなかったら、実力行使に出るしかないと思ってたから」
「な、実力行使っ⁉︎」
「こういうことだよ……」
え。
と思ったときには、キスされていた。
素早い!
心の準備をする間もなかった。
ついばむような、軽いキスが繰り返される。
まぁいいか、これくらいなら。
気持ちいいし……。
と呑気に目を閉じていると、さっき飲んだミントティーの香りとともに、するり、と舌が進入してきた。
はっと身を固くした時には遅かった。
逃げないように、がっしり抱き締められて、頭も抑えられ、容赦なく情熱が注ぎ込まれてくる。
草食系男子とか、
地味系男子とか、
思っていたのは何だったの⁉︎
最初のキスからこんないやらしいとは……!
演奏はその人の本性が出るというけれど。
そうだよ、シェヘラザード、エロかったと言ってたばかりじゃないの。
頭の芯がしびれてくる。
身体が溶かされそう。
