一瞬の静寂ののち、割れるような拍手と、ブラボーの声。
三神くんは、汗だくで、目を赤くして、客席に向かって深くお辞儀をした。
オケのメンバーも、ソリストに拍手を送ったり、足を踏み鳴らす。
指揮者も満面の笑みで三神くんと握手。
三神くんがコンミスと握手すると、トップサイドの男の子も、握手を求める。
隣のセカンドヴァイオリントップも、そのトップサイドも、ヴィオラも、チェロも……
結局、弦楽器の前列全員と握手する。
届かない木管や金管、ティンパニ、コントラバスの人達は、手を振ったり、頭の上で握手したり。
舞台上は大盛り上がり。
このノリは、さすがに大学オケだ。
一旦袖に下がるものの、拍手で呼び戻される指揮者とソリスト。
カーテンコールは、何度も続いたけど、ようやく拍手が鎮まり、DVDも次のメインに切り替わった。
「ごめん、一旦止めて」
私の声は、明らかに涙声だった。
三神くんがDVDを止めて、こちらに来る足音がする。
