第2楽章。
いかにもチャイコフスキーらしい哀愁を帯びたメロディ。
コンチェルトの2楽章は、ゆったりしたテンポで、ヴァイオリンが切々と歌っていく曲が多く、ともすると退屈に聞こえてしまうものだけど、この演奏は緊張感をもって、飽きさせない。
甘い中にも、やるせなさを含んだ旋律を、朗々と歌い上げて、第2楽章が終わった。
三神くんは、指揮者の方を見て、今度は好戦的にニヤっと笑った。
“第3楽章、行こう” というように。
そして、コンミスに向かって、同じように笑い、コンミスもうなづく。
あ、今、私、コンミスに嫉妬した。
彼と同じ音楽を作ってきたことが、たまらなくうらやましい。
どんだけだ、自分……
