恋色シンフォニー




翌日火曜日。
内勤していると、夕方にさしかかったところで、事件が発生した。

「はっ⁉︎ 特売発注がとんでないっ⁉︎」

思わず電話で叫んでしまった。
フロアの視線が集まる。
「確認して折り返します! とりあえず商品は確保しておいてください!」

販促部の三神くんの机に向かう。
「取引先から、今週末からの特売発注データが来てないって連絡があった。至急調べて」
「了解」
三神くんが険しい顔でパソコンを叩き始める。
向かいでは、入ったばかりの派遣の女の子が青くなっている。

「この部門コードが抜けてる……」
「私の部門だけだ。よかった。店から上がった発注数は残ってる?」
「残ってる」
「助かった。共有フォルダに入れて」

私は自分の席に戻った。
「大丈夫?」
玲子さんや渚ちゃんが声をかけてくれる。
「ありがとうございます。私の1部門だけですし、数量データは残ってるし、何とかなると思います」

取引先に電話。
物流センターに電話。
システム部に電話。

それらを繰り返し、小一時間ほどして、やっと解決の目処がついた。
午後5時半か。
午後7時までに、発注データセットしなきゃならない。
一休みしてこよ。